改正宅建業法による、宅建士法定講習に「宅地建物取引士の使命と役割」が追加
宅建士の新しい法定講習
「宅地建物取引主任者(宅建主任者)」から「宅地建物取引士(宅建士)」に格上げされるとお伝えしましたが、新しい法定講習の内容が徐々に見えてきました。
特に今回、重視されるのが「コンプライアンスの徹底」です。
そのために、新たに設けられる法定講習の講習科目に「宅地建物取引士の使命と役割」が設定されます。
しかも第1番目の講習科目とされることから、いかに重視されているかがわかります。
この追加によって、講習時間は1時間程度増えることになり、受講料も1,000円程度引き上げになるそうです。
【新設・別冊】宅地建物取引士の使命と役割の内容
※ 太字は、現行テキストにもある項目・内容等です。
第1編 宅地建物取引業法の改正
- 旧・宅地建物取引主任者 制度創設の経緯
- 平成26年度改正の概要(宅地建物取引士への名称変更、宅地建物取引士の業務処理の原則等新たな追加規定の明記)
第2編 宅地建物取引士の使命(総論)
- 宅地建物取引業の社会的責任
(住生活の向上に寄与するという公共性の高い産業、非日常的な取引であることから消費者から
の高い信頼性が要請される産業) - 不動産取引業務における中核的な役割
(使命:社会的責任の理解、会社の「顔」・「代表」、不動産の専門家として安心安全な取引を
確保) - トラブルの未然防止やクレーム処理
(1) 顧客ニーズの的確な把握
(2) 提供情報の正確性・網羅性、説明徹底などの再認識
(3) クレーム対応等(クレームの意義の理解、迅速な対応などの基本動作) - 顧客サービスの能力向上の必要性
(1) 中古住宅流通促進のための事業者間連携
(行政情報、インスペクション等の業務内容、取組み事例)
(2) 取引に付随する相談能力の向上(相続、有効活用) - 災害時における対応
第3編 宅地建物取引士の役割と心得(各論)
- 宅建業法関係の任務(重要事項説明、重説・契約書面記名押印)
- 宅地建物取引業務の業法規制等の遵守徹底(概要のみ。詳細は講習テキスト)
- 心得 1. 高度な職業倫理、2. 不断の自己研鑽(研修、資格取得等)、3. 一般従業者への指導・助言
第4編 宅地建物取引業とコンプライアンス
- コンプライアンスの定義、全体像(不動産業務の関連法令など)
- コンプライアンスの意義・機能(リスク管理、会社や従業員を守る、顧客の信頼醸成)
- 宅地建物取引業における具体的事例(概略を列記)、注意点
- 個別事項
(1) 基本的人権の尊重 (判例等を追加)
(2) 守秘義務、個人情報保護
(3) 反社会的勢力の排除(暴対法・暴排条例、暴排契約条項など)
(4) マネー・ローンダリング対策
(犯罪収益移転防止法、本人確認・疑わしい取引の届出などの手続の概要)