建設業許可申請業者の11.7%が社会保険未加入~平成29年度に全社加入を目指して対策強化へ
国土交通省が建設業者の社会保険加入状況について発表しています。
社会保険等未加入業者への加入等指導状況について
(平成 24 年 11 月~平成 26 年 3 月までの状況)建設産業においては、健康保険、厚生年金保険及び雇用保険(以下「社会保険等」という。)について、法定福利費を適正に負担しない企業(すなわち保険未加入企業)が存在し、技能労働者の医療、年金など、いざという時の公的保障が確保されず、若年入職者減少の一因となっているほか、関係法令を遵守して適正に法定福利費を負担する事業者ほど競争上不利になるという矛盾した状況が生じています。 (以下略)
社会保険等の加入指導状況
これまでに確認した申請等件数(231,787件)
- 申請等件数のうち既に加入していた件数:204,649件
- 申請等件数のうち未加入であったため、指導を受けた件数:27,138件(11.7%)
指導を受けた件数の内訳
- 加入した件数:8,316件
- 加入しなかったため社会保険等担当部局へ通報した件数:8,273件
- 指導中又は加入確認待ちの件数:10,549件
国は社会保険加入を義務付けていますが、入らなくても許可が取れてしまうので、これまでも社会保険未加入対策関係を行ってきました。
数字で「11.7%」と表されると、改めてその多さを感じますね。
この指導に従わなかった8,273社は厚生労働省に通報されています。
これまでの国交省の取り組みは、
社会保険未加入対策
(1)行政・元請企業・下請企業等の関係者が一体となった推進体制(社会保険未加入対策推進協議会)の整備
(2)建設業法施行規則等関係法令の改正(平成24年5月公布)
・建設業の許可申請書類、施工体制台帳の記載事項等への記載事項追加、経営事項審査における社会保険未加入業者への減点措置の厳格化
(3)社会保険加入状況の把握、確認・指導等
・公共工事労務費調査を活用した加入状況の把握・公表
・建設業担当部局における建設業許可・更新、経営事項審査、立入検査時の加入状況の確認・指導、保険担当部局への通報(4)建設企業における取組の推進
・「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」の策定(これを踏まえ、元請企業が下請企業の保険加入状況を把握、加入指導)
・社会保険加入促進のためのポスター・リーフレットの作成・配布等による周知・啓発(5)法定福利費の確保
・公共工事設計労務単価の改訂等により必要な法定福利費(事業主負担分・本人負担分)の額を公共工事の予定価格に反映
・各専門工事業団体による法定福利費が内訳明示された標準見積書の作成、活用(平成25年9月から一斉に活用開始)
国交省は更にこれを強化するそうです。
社会保険未加入対策の強化 (案)
平成26年夏以降
国土交通省直轄工事において、社会保険未加入建設業者に対する指導監督を強化するとともに、元請業者及び一定規模以上の工事の一次下請業者から社会保険未加入業者を排除することを検討。
平成27年度以降
競争参加資格申請時に社会保険未加入業者を排除することを検討。